こんにちは、遠藤です。
「白髪染めのたびに、頭皮がピリピリする」「染めた数日後から、かゆみが出てくる」「美容室では何ともなかったのに、家に帰ってから気になりだした」。そんな経験はありませんか。この仕事を25年していますが、この悩みは本当によく聞きます。そして多くの方が、それを口に出さないまま、次の予約を取っていかれます。
「体質だから仕方ない」「歳のせいでしょう」。そう思い込んでいる方がとても多いのですが、私はそうは考えていません。何が起きているのかには、はっきりした理由があります。この記事では、その仕組みと、今日から試せることを正直にお話しします。
染めている最中より、帰ってからのほうが負担は大きい
意外に思われるかもしれませんが、ここが一番大きな誤解です。多くの方は「染めている最中のピリピリ」だけを負担だと思っています。でも実際に頭皮の体力が削られているのは、サロンを出たあとの時間のほうです。
白髪染めの薬剤はアルカリ性です。髪はふだん弱酸性で、表面のキューティクルが閉じた状態を保っています。ここに色を入れるには、いったんその表面を開かなければなりません。アルカリ性である理由はそこにあります。つまり、開くこと自体は染めるために必要な工程なのです。
問題は、染め終わったあとです。開いたものは、放っておいても自然には閉じません。何も手当てをせずに帰ると、アルカリは髪と頭皮に残ったままになります。そして染めた日から7日から10日ほど、髪はもっとも不安定な状態で過ごすことになります。この期間、髪は水分を抱えにくく、摩擦にも弱くなっています。
サロンを出たときは何ともなかったのに、3日後や5日後からかゆみが出てくる。あるいは、染めて1週間ほどでパサつきが急に気になりだす。これはこの期間に起きていることです。施術そのものではなく、そのあとの1週間に目を向ける必要があります。
ジアミンという、もうひとつの原因
白髪をしっかり染めるために、多くの薬剤にジアミン(パラフェニレンジアミン)という染料が使われています。発色がよく、色持ちもするため、白髪染めの主流になっている成分です。裏を返せば、市販品でもサロン用でも、多くの白髪染めに入っているということでもあります。
これはアレルギーの原因物質として知られていて、ある日突然、症状が出ることがあります。やっかいなのは、それまで何年も平気だった方にも起こるという点です。同じ製品を使い続けていても、体のほうが変わることがあります。そして一度発症すると、その後は使えなくなることがほとんどです。
「去年までは大丈夫だったのに」という話を、私は何度も聞いてきました。皆さん一様に驚かれるのですが、これはジアミンの性質によるもので、その方が何かを間違えたわけではありません。もし病院でジアミンアレルギーと診断されたことがある方は、白髪染めを選ぶときに必ずお伝えください。ジアミンを使わない処方を選べば、染めること自体は続けられます。
良かれと思ったトリートメントが、かえって逆効果になることも
染めた直後、髪が傷んだ気がしてトリートメントを足す。手触りをよくするために、コーティング力の強いものを選ぶ。とても自然な反応ですし、気持ちはよく分かります。でもこれは、残っているものを内側に閉じ込めることになります。
手触りは確かに良くなります。ツヤも出ます。けれど、髪の状態が良くなったわけではありません。表面を覆って、そう見えているだけです。これを何年も続けた髪は、少しずつ硬く、重たくなっていきます。「昔より髪が言うことをきかなくなった」と感じている方の中には、この積み重ねが背景にあるケースが少なくありません。
染めた日に本当に必要なのは、覆うことではなく取り除くことです。髪と頭皮のpHを下げて、残ったアルカリを抜く。これは地味な工程で、やった直後の見た目はほとんど変わりません。だからこそ省略されやすいのですが、5年後10年後の髪を決めるのはこちらだと私は考えています。
他店で染めている方へ。今日から試せること
ここまで読んで「じゃあ美容室を変えなきゃいけないの」と思われたかもしれませんが、そんなことはありません。いま通っているお店で試せることがあります。私はそれで十分だと思っています。
担当の美容師さんに「髪と頭皮のpHを下げるメニューを追加してください」と伝えてみてください。このとき「頭皮も忘れずに」とお願いするのがポイントです。髪だけを想定したメニューになっていることがあるためです。もし該当するメニューがなければ、自宅用のものを用意して、カラー後の1週間は毎日使ってみてください。
あわせて、染めた直後の1週間はシャンプーの仕方も少し変えてみてください。爪を立てずに指の腹で洗う、お湯の温度を少し下げる、強い摩擦をかけない。この時期の髪は不安定なので、いつもと同じ扱いが負担になることがあります。特別なことをするのではなく、いつもより少し優しくする、という程度で構いません。
これだけで変わったとおっしゃる方は、実際にいらっしゃいます。お金もほとんどかかりません。まずはここから試していただくのが、一番早いと思います。
あなたのせいではありません
ここまで原因の話をしてきましたが、最後にお伝えしたいことがあります。頭皮のトラブルが起きているのは、あなたが何かを間違えたからでも、ケアをさぼったからでもありません。
刺激の強い薬剤を使う。髪質に関係なく、同じ手順で染める。残ったものの処理まで手が回らない。こういう積み重ねがあれば、染めるたびに頭皮の体力が削られていくのは、むしろ自然なことです。仕組みのほうに原因があるのであって、受ける側の問題ではありません。
そして「白髪染めは痛いもの」「歳だから仕方ない」と自分に言い聞かせているうちに、かゆみや乾燥という身体からのサインを、見ないことに慣れてしまう。これが一番もったいないことだと思っています。サインが出ているということは、まだ体が教えてくれているということです。
その流れを、一度止めてみませんか。何かを足すのではなく、余計なものを引いてみる。別のやり方もありますよ、とお伝えすること。私がやっているのは、それだけです。白髪を染めることをあきらめる必要も、我慢しながら染め続ける必要もありません。
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