「トリートメントもしているのに、なぜか髪がパサつく」
「美容室に行った直後はきれいなのに、家に帰るとすぐ元通りになる」
そんな風に感じたことはありませんか。
東京都中央区・月島で美容師をしている遠藤大輔です。毛髪診断士として、これまで25年間、延べ8,500人以上のお客様の髪と頭皮を見てきました。今日は、多くの方から繰り返し聞かれる「なぜ髪は傷むのか」という素朴な疑問について、原因・要因・対策の順にまとめてお伝えします。
私が普段、お客様の髪と頭皮に真剣に向き合っている場所(月島SOL)はこちらです。
結論:髪が傷む本当の原因は「乾燥」
先に結論からお伝えします。髪が傷む本当の原因は、外から受ける刺激そのものよりも、髪の内部から「命の水」が失われる「乾燥」にあります。
紫外線やヘアアイロンの熱、カラーやパーマの薬剤。こうした外的なダメージ要因はもちろんありますが、それらが本当に怖いのは、髪の内部にある水分を奪ってしまうからなんです。
原因:髪の中の「命の水」が失われること
髪の毛は、大昔から変わらず「タンパク質」でできています。そして、健康な髪のタンパク質には、ぴったりとくっついて離れない「結合水」と呼ばれる特別な水が存在しています。
この結合水は、お風呂上がりに乾かせば蒸発してしまう普通の水(自由水)とは違い、200度近いヘアアイロンの熱を当てても蒸発しませんし、真冬の乾燥した空気の中でも簡単には失われません。タンパク質としっかり手を繋いでいるからこそ、髪はしなやかに曲がり、艶やかな状態を保てるのです。
ところが、この結合水が失われるとき、水だけが単独で逃げていくわけではありません。手を繋いでいた大切なタンパク質までもが、一緒に道連れにされて髪の外へ流れ出してしまうのです。
タンパク質と水分を同時に失った髪の内部は、スカスカの空洞だらけになります。私はこれを、お風呂で使う乾燥した「ヘチマ」や、水分をすっかり失った「ミイラ」のような状態だとお伝えしています。ここまで進んでしまうと、少しの刺激でパキッと折れたり、湿気を異常に吸い込んでチリチリにうねったりと、なかなか手がつけられない状態になってしまいます。
要因:良かれと思ってやっている「足し算」のケア
では、なぜ結合水とタンパク質は髪から逃げ出してしまうのでしょうか。
その大きな要因のひとつが、皮肉にも「髪のためによかれ」と思って続けているケアそのものにあります。
洗浄力の強すぎるシャンプーで毎日ゴシゴシと洗う。パサつきが気になって、サロンで強力なトリートメントを重ねる。シリコンなどでコーティングして、その日だけツヤツヤの状態を作る。
私はこれを「シンデレラヘアケア」と呼んでいます。童話のシンデレラの魔法が12時を過ぎると解けてしまうように、強力なコーティングによる艶も一時的なものにすぎません。むしろ、髪の表面を分厚くコーティングしてしまうと、本来キューティクルが行っている水分調整、いわば髪の「呼吸」ができなくなってしまいます。
呼吸ができなくなった髪をシャンプーで濡らすと、内部に水分がこもって長時間「ふやけた」状態になり、そこにドライヤーの熱が加わることで、逃げるはずのなかった結合水までもが一緒に蒸発の道連れにされてしまう。良かれと思って足し算してきたケアが、結果的に髪の乾燥を進めてしまっているケースを、現場で数え切れないほど見てきました。
もちろん、強い薬剤でのカラーやパーマの繰り返し、頭皮の洗いすぎによる乾燥や炎症も、同じ「足し算」の構造の中にある要因です。
もうひとつの要因:外側から水分を奪う日常の習慣
「足し算のケア」以外にも、日常の中で髪の水分を奪っている要因はいくつかあります。
たとえば、紫外線です。夏場だけでなく、実は一年を通して髪や頭皮は紫外線にさらされていて、キューティクルを傷め、内部の水分が蒸発しやすい状態を作ってしまいます。
また、タオルでゴシゴシと強く拭く、ブラッシングのしすぎ、寝ている間の摩擦なども見過ごせません。摩擦によってキューティクルが少しずつめくれると、そこから結合水が抜けやすくなってしまうのです。
さらに、ヘアアイロンやコテを高温で頻繁に使う習慣も、髪内部の水分を直接飛ばしてしまう大きな要因のひとつです。「巻くたびに少し髪が硬くなっている気がする」という感覚は、決して気のせいではありません。
こうした外側からの要因と、先ほどお伝えした「足し算のケア」による内側からの要因が重なり合うことで、髪の乾燥はより進みやすくなってしまいます。
対策:まずは「引き算」から始める
こうした背景をふまえると、髪の傷みへの対策は、何か新しいものを足すことではなく、負担になっている習慣を手放す「引き算」から始めるのが近道になります。
具体的には、次のようなことから見直してみてください。
– 洗浄力の強すぎるシャンプーを、頭皮の状態に合わせて選び直す
– 毎日隅々まで洗い上げる習慣を、少し緩めてみる(いわゆる「減シャン」)
– トリートメントやオイルを重ねすぎていないか、一度立ち止まって振り返る
– カラーの間隔や薬剤の強さについて、担当美容師と正直に相談する
大切なのは、ゼロか百かで完璧を目指すことではなく、髪と頭皮の「帰る場所」であるホームケア環境を、少しずつ整理整頓していくことです。強い薬剤やコーティングを重ねる前に、まずは何を手放せるかを考えてみる。それだけで、髪が本来持っている生命力を取り戻すための土台ができていきます。
外的な要因についても、できる範囲で構いません。日傘や帽子で紫外線を避ける、タオルドライは押さえるように優しく行う、アイロンの温度を少し下げてみる。ひとつひとつは小さなことですが、こうした積み重ねが、結合水を逃さないための引き算につながっていきます。
よくある質問
Q. トリートメントは絶対にやってはいけないのでしょうか?
そんなことはありません。特別な日のための一時的なケアとして、トリートメントが役立つ場面は確かにあります。問題なのは、コーティングを重ねることが「唯一の解決策」になってしまい、根本にある足し算の習慣を見直さないままになってしまうことです。
Q. 今からでも髪の状態は変わりますか?
髪質や生活習慣によって変化のスピードはさまざまで、必ずこうなるとお約束することはできません。ただ、現場で引き算のケアに切り替えたお客様の髪が、時間をかけて少しずつ扱いやすくなっていく姿は、これまで何度も見てきました。焦らず、ご自身の髪と頭皮の声を聞きながら進めていくことが大切だと感じています。
私の考え
私は月島のサロン「月島SOL」で、国内外の厳選したハーブや100%天然のヘナを使った「頭皮が喜ぶ白髪染め」をご提案していますが、これも根っこにある考え方は同じです。強い化学薬品やコーティングで無理やり良く見せるのではなく、まず引き算をして、髪と頭皮が本来持っている力を取り戻してもらう。
もちろん、トリートメントやカラーのすべてを否定しているわけではありません。特別な日のための魔法として、必要な場面は確かにあります。ただ、根本的に髪を健康にしたいと思うのであれば、一度「足し算のループ」から抜け出してみる必要があると、25年間現場に立ってきた実感として思っています。
月島、勝どき、晴海、豊洲、有明、東雲エリアで、トリートメントを重ねても髪のパサつきが治らないと感じている方。まずは何かを足す前に、今の習慣の中で手放せるものがないか、一緒に見直してみませんか。あなたの髪が自ら潤う力を取り戻すまで、しっかりと伴走させていただきます。

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